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2008/02/10

ちいさき神の、つくりし子ら

[transformer]曇り空の昨日、雪の予報を気にかけながらも、プレタポルテ企画公演『ちいさき神の、つくりし子ら』を観に俳優座劇場に出かけた。
原作戯曲は1980年初演、マーク・メドフの『Children of a Lesser God』で、映画化されてもいるから(邦題:『愛は静けさの中に』)、物語を知っている人は多いかも。
この公演については、ドシルさんのブログの記事でたまたま知ってチケットを予約することができ、久しぶりの観劇ということもあって、ずっと楽しみにしていた。

マーク・メドフはこの戯曲に「プロの舞台においては、サラ、オリン、リディアは聴覚障碍の俳優によって演じられること」と注文をつけている。じつは15年25年前、加藤健一事務所によって紀伊国屋ホールで上演されたときにも観ているのだが、サラを演じたのは熊谷真実さん(聴者)で、条件を満たす俳優を見つけることが難しかったのかなと当時は思ったものだ。

また今回の公演では舞台の両脇に「字幕」が付けられ、希望すれば台本を事前に貸し出してもらえるなど、聴覚障碍者への「情報保障」も考えられている。これも昔の舞台にはなかったもの。
もっともサイトの説明と座席表を参考に、前方中央付近の席を予約したものの、劇場に行ってその席に着こうとすると、舞台と字幕ディスプレイを見る角度が開きすぎ、かなり大きな視線移動が必要になりそうだった。
「これでは大変かな」とあたりを見回していたら、すかさず場内スタッフが寄ってきて「(空席のある範囲で)もっと観やすい位置に移っていただいてもかまいませんよ」と案内してくれた。まあ、どこに座っても多少の無理はありそうだったけれど、こうした配慮もうれしかった。

さて開演して始めのうちは、むかし観た加藤健一さんの演技や、映画のシーンなどとイメージを重ねてしまったりもしたが、しだいに目の前の舞台に引きつけられていった。岡田達也さんの熱情と快活の底に陰りを隠したジェイムスも、津田絵理奈さんの勝ち気で攻撃的ながらナイーブなサラも、胸に迫ってくるものがあったなあ。

シンプルでも工夫された装置と、場面転換のときにそれを動かすスタッフ(黒衣)の連携も滑らかで、全体に美しい舞台だったと思う。

そして、戯曲のテーマは軽いものではないが、人と人とが「結び」あうことの困難、その深さと喜びを描いて、ずっと心に留めておきたい舞台だった。

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コメント

プレタポルテの演出家・板垣恭一さんが、
この舞台に「字幕」を付けることに決めた経緯を書かれていますね。
http://itata.exblog.jp/7417858/

ここでも『バベル』の字幕運動が果たした役割と影響の大きさを知ることができます。
http://www.kiirogumi.net/babel/pc.html

こうした動きがさらに広がっていくことを願っています。

……ほんとうは舞台に字幕を付けるなら、国立能楽堂に導入されたという
「パーソナル座席字幕システム」みたいな形が理想なのでしょう。
http://www.ntj.jac.go.jp/gekijo/nou/jimaku.html

なかなか一般の劇場でここまでの設備を整えるのは困難とは思いますが。

投稿: rinsho | 2008/02/10 10:43

こんにちは。
まだ国立能楽堂は行ったことがないので新設された字幕システムのこと知りませんでしたが、リンク先の写真を観て、舞台字幕とどちらが理想か?と思うとどちらも一長一短がありそうですね。
私は舞台字幕は何度も観ましたが、舞台脇にあるので目の移動も少なく、舞台から目をほとんど離さずに読むことができます。しかし座席字幕は近くに焦点を移動させなければならないので目が疲れそうです。舞台芸術の観点から言えば後者の方が良いのでしょうけれど。あと、日本語のみならず英語や他国語で読める利点が大きいのでしょうね。(他国語もあるのかな?)

歌舞伎座や国立劇場などで常用されているイヤホン式は視覚的には全くリスクはありませんが聴覚が欠かせませんしね。

投稿: mariko | 2008/02/10 18:02

marikoさん、
なるほど、焦点の移動についてはそのとおりかもね。

でも、舞台袖の字幕の場合、座席位置によって見やすさが大きく異なります。
プレタポルテのサイトに、
----------------------------------------------
字幕モニターは舞台の左端の前と右端の前に舞台から通路(花道のようなもの)があり、その2箇所にご用意する予定です。
見やすいお席は4列目~9列目の4番~19番のお席です。
1~3列目あたりの前のお席は見えづらいです。文字のサイズ上、後ろの方のお席も見えづらい可能性がございます。
----------------------------------------------
と書かれていたので、5列目の真中あたりの席を取っていました。

実際の字幕の位置は俳優座劇場の座席表でいうと「2列2番/同21番」の外側あたりで、5列目からだと首を回さないで字幕を読むことは困難と思われました。
http://www.haiyuzagekijou.co.jp/theater/

たしかに後ろのほうに座れば視野に収まるでしょうが、今度は演者の表情や手話も、そして文字も読み取りづらくなるしね。

少し迷いましたが、私たちは6列目のやや右寄りの席に移らせてもらいました。

投稿: rinsho | 2008/02/10 19:20

こんにちは。
先日はありがとうございました。
また、TBありがとうございます。

今回、字幕をつけてくださったのは「バベル」の影響だと、
「ちい神」ブログで知りました。
私たちが手話で話していたときもスタッフの方は、席を
気にかけてくださり、びっくりしたと共に配慮を嬉しく思いました。

こういうバリアフリーが、少しずつ一般の舞台にも広がると
いいなと思います。

投稿: ドシル | 2008/02/11 20:41

ドシルさん、こちらこそありがとうございました。

そうそう、劇場設備の面で制約もある中で、
できるだけのことをしようという姿勢が感じられて、
とてもうれしかったですね。

投稿: rinsho | 2008/02/12 01:17

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